ショートSF「車のない未来」

ショートSF車のない未来 私には、実はタイムトラベラーの友人がいる。 先日、彼にタイムマシンを借りた。 行った先は30年後のジャパン。 その世界は、浮いていた! 文字どおりに。・・・・・・・・ 私の住む現代は交通事故が絶えない。 だから、原発反対…

サンタの過去

ノボノボ童話集サンタの過去 サンタクロースには多くの伝説がある。 この話はその一つだ。 現代にまでつながるクリスマスの愛すべき慣習は、彼の暗い過去があってこそだった、というのだ。・・・・・・・・ 実は、サンタは昔泥棒だった。 寒さにふるえる貧し…

美しき誤解

ノボノボ童話集美しき誤解 まもなくクリスマスがやってくる。 新年になれば初詣。 イスラム教だと、毎年断食ラマダン。 あらゆる宗教に、年に一回以上の儀式というか掟がある。 毎日という宗教もある。 もう誰も知る人はいないのだが、 実は、これって神様、…

本屋の秘密

ノボノボ童話集本屋の秘密 もう本が売れない時代となってしまった。 ネットは脳みその咀嚼能力をとても弱めてしまう。 その三連鎖がこれである。 「本を読まない」「読んでも理解しない」「理解してもすぐ忘れる」・・・・・・・・ そんな本屋受難の時代、と…

思いがけない幸せ

ノボノボ童話集思いがけない幸せ 彼はだれよりも幸せのはずだった。 由緒ある家柄、裕福な両親、何不自由なき幼年時代。 秀才で、運動神経もルックスも性格も良い彼は、 同級生のあこがれの的だった。・・・・・・・・ そんな彼の進む道は、自ずと決められて…

宇宙への井戸

ショートSF宇宙への井戸 彼が不眠症であるのには理由がある。 「夢」の秘密を解きあかしたかったのだ。 眠りに落ちるその一瞬、いったいどこへ落ちるのだろう? なぜ夢はハチャメチャなのだろう? どうして夢をよく覚えていないのだろう? とはいえ彼も人…

アキレスと亀

ノボノボ童話集アキレスと亀 彼は天才科学者である。 世間の煩わしさから遠ざかろうとして、 いまだ文明の及ばぬ南の島で研究を続けることにした。・・・・・・・・ 水平線に沈む夕日の美しさは、彼の心をとりこにした。 それとともに、自然に対する挑戦の気…

究極の薬

ノボノボ童話集究極の薬 赤い鳥小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実を食べた♪ 童謡の一節が、突然彼の頭に入ってきた。 それは彼にとって、神のお告げというべきものだった。・・・・・・・・ 彼はある病院の付属薬局に勤める薬剤師だ。 日々患者に同じような薬を出し…

森の言葉

ノボノボ童話集森の言葉 初冬のある日、車窓を見ながら娘は聞いた。 「おとうさん、どうして木は寒い冬に服を脱ぐの?」 「う〜〜ん、それは木が暑がりだからさ」 初夏のある日、車窓を見ながら、また娘は聞いた。 「おとうさん、どうして木は暑い夏に服を着…

無敵の鎧

ノボノボ童話集無敵の鎧 神様は彼に「無敵の鎧」を与えた。 それはどんな攻撃にも耐えられる鎧(よろい)。 しかし一回使うたびに一年寿命が縮まるという。 当たり前だが、彼はよほどのことでない限りその鎧を使うことはなかった しかも、信心深かった彼は、…