2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

思いがけない幸せ

ノボノボ童話集思いがけない幸せ 彼はだれよりも幸せのはずだった。 由緒ある家柄、裕福な両親、何不自由なき幼年時代。 秀才で、運動神経もルックスも性格も良い彼は、 同級生のあこがれの的だった。・・・・・・・・ そんな彼の進む道は、自ずと決められて…

宇宙への井戸

ショートSF宇宙への井戸 彼が不眠症であるのには理由がある。 「夢」の秘密を解きあかしたかったのだ。 眠りに落ちるその一瞬、いったいどこへ落ちるのだろう? なぜ夢はハチャメチャなのだろう? どうして夢をよく覚えていないのだろう? とはいえ彼も人…

アキレスと亀

ノボノボ童話集アキレスと亀 彼は天才科学者である。 世間の煩わしさから遠ざかろうとして、 いまだ文明の及ばぬ南の島で研究を続けることにした。・・・・・・・・ 水平線に沈む夕日の美しさは、彼の心をとりこにした。 それとともに、自然に対する挑戦の気…

究極の薬

ノボノボ童話集究極の薬 赤い鳥小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実を食べた♪ 童謡の一節が、突然彼の頭に入ってきた。 それは彼にとって、神のお告げというべきものだった。・・・・・・・・ 彼はある病院の付属薬局に勤める薬剤師だ。 日々患者に同じような薬を出し…

森の言葉

ノボノボ童話集森の言葉 初冬のある日、車窓を見ながら娘は聞いた。 「おとうさん、どうして木は寒い冬に服を脱ぐの?」 「う〜〜ん、それは木が暑がりだからさ」 初夏のある日、車窓を見ながら、また娘は聞いた。 「おとうさん、どうして木は暑い夏に服を着…

無敵の鎧

ノボノボ童話集無敵の鎧 神様は彼に「無敵の鎧」を与えた。 それはどんな攻撃にも耐えられる鎧(よろい)。 しかし一回使うたびに一年寿命が縮まるという。 当たり前だが、彼はよほどのことでない限りその鎧を使うことはなかった しかも、信心深かった彼は、…