三値のデジタル社会

ノボノボ童話集三値のデジタル社会 その時代の社会は、見かけはともかく人々の心はとても殺伐としていた。 どうも人間が作ったコンピューターに逆感化されたらしく、社会のあらゆることが「二値」の選択であったのだ。 「賛成か反対か」「合格か不合格か」「…

ショートSF「哀しき人工知能」

ショートSF哀しき人工知能技術的特異点は2050年に訪れた。人工知能(AI)がすべての分野で全人類の能力を超えたのだ。それを象徴するかのように「人工知能」との結婚も急速に増加した。それから先は半世紀以上前のSF映画のとおりである。・・・・…

新しい名前

ノボノボ童話集新しい名前名前がない人はいません。名無しの権兵衛にだって「ゴンベエ」という名前があります。人にも物にも名前があって、初めて社会に存在できるわけです。・・・・・・・・今の世がどうにも変なことだらけなのは、もしかしたら名前が変だ…

ショートSF「素晴らしき新人類」

ショートSF素晴らしき新人類人類は今、進化の過渡期を超えようとしている。私たちは進化に洗練を期待しがちだが、実はグロテスクに見えることのほうが多い。・・・・・・・・十数年前から新人類の予兆が頻繁に現れてきた。花粉症、食物アレルギーが劇的に…

ショートSF「超電池社会」

ショートSF超電池社会いかなる革命的な技術にもルーツがある。自動車が発明される前に馬車があり、インターネットが日常化する前に電話があった。これから話す革命的な技術のルーツは乾電池だった。ときは今から約三十年後の世界。もし過去から直流電気優…

窓ごしの二人

ノボノボ童話集窓ごしの二人遠慮がちでロマンチックな恋愛がまだ多かった頃の話である。画家をめざす彼は日々修行中の身であった。夜型の彼は毎日同じ時、同じ場所で遅い朝食をとる。それは近所にある小さな喫茶店。開店の10時になると決まって同じ窓際の席…

忍者犬チビ

ノボノボ童話集忍者犬チビ 懐かしい子供時代を一緒に過ごしたのは家族や友達だけではない。 小学校2年生の秋、そぼふる雨の日に「チビ」はわが家の庭先に迷い込んできた。 「スピッツ」と「チン」のあいの子のような「チビ」はそのままわが家に居着くことに…

夢を描く画家

ノボノボ童話集夢を描く画家 絵画は本当にすばらしいと思う。 一枚の良い絵は何百の良書に匹敵することだろうか。 一瞬にしてすべてを理解させる力、 絵画ほどその力がすぐれているものはない。・・・・・・・・ しかし、描く方の画家は一面不憫でもある。 …

ショートSF「驚きのタイムマシン」

ショートSF驚きのタイムマシン ここはディズニーランド。 クリスマスイブの今日に合わせて、 とてつもない新アトラクションがOPENした。 それは本物の「タイムマシン」だという。・・・・・・・・ その名を聞けばなつかしく思う人もいるだろう。 「ザ・タ…

人生相談の達人

ノボノボ童話集人生相談の達人 隣の町に「人生相談の達人」がいるという。 親しい友人数名が実際に相談したらしい。 その効果を聞かされた彼は疑った。 彼は理屈の通らないことが大嫌いな性格だった。 そこで達人の家の前で観察を始めることにした。・・・・…